アイロンがけの話
朝、久しぶりに早起きして、歯を磨き、顔を洗い、
クローゼットの中から長く眠らせていた水色のワイシャツを引き出してアイロンがけをする。今日は日曜日だから、ゆっくり丁寧に時間が進む。
サラリーマンになってからアイロンがけが必要なシャツはあまり着なくなった。朝は時間がないし、その余力もない。でも本当は、ワイシャツが好きだった。
ワイシャツを着ると、何だか心が整った気持ちになる。ちょうどスーツを身にまとうと、社会人としてのペルソナを自然と被れるのと同じだ。いつもだらだらしているから、私はちゃんとした服を着た方が心のバランスが取れてちょうど良くなるのだ。
しかし心が疲弊すると、服はだらしなくなってしまう。これ以上縛られたくないと思う。シャワーの回数は2、3日に一回になってしまう。食事はしなくなる。生活のリズム何もかもが崩れてしまう。
週末になると、私は必ずアイロンがけをする。
一週間のドタバタを整え、皺くちゃになった思考を伸ばし、今日一日の計画についてゆっくり思案する。
そのような時間を過ごせたことは、きっと私の人生の中で幸せだったことの一つになるに違いない。幸せは日常の瞬間に間違いなく存在しているのだ。