好きなことより自分にしかできないことを
椎はご存知でしょうか。
夏目漱石『三四郎』にも出てくる常緑樹で、葉の裏が金色で風が吹くとよく分かる木です。
そのシイ属の木で、スダジイという種があります。
スダジイは元は陰樹であり、日陰が好きなので林の中ではできる限り陰になっている所にいます。
しかし、イスノキという種が生えていると、スダジイは陽樹の役割をします。
日当たりが多い場所しか残されていないので、スダジイは競争をやめたのか、自分が日当たりの所を選ぶのです。そうすることでイスノキもスダジイもめでたく生存できるわけです。
このように生物学上では、その種の役割という意味で「ニッチ」という言葉を使います。
自分の好きな場所を選んでばかりでは可能性も少なく、時に身を削る競争に巻き込まれて滅びます。好きだからといってみんなが出来ることをやってばかりでは当然負けるリスクが大きいのです。決して競争がいけない訳では無いのだが、もし好きな事以外に自分にしかできない事があれば、それを職にした方がリスクも低いし成功する確率も大きいに決まっているのです。実際関東ではスダジイはイスノキより優占している(数が多い)。
こんな当たり前の正論を述べるなんて自分らしくないが、常々生物から学ぶ事は多いなと思い投稿しました。誰かの役に立てたら幸いです。