文鳥とピアノ

少しだけお付き合いください

雨が降るりそうなじめじめした冬の日に、不意に襲ってくる懐かしい空気を追いかけたその先にあるものは

 

小さい頃に住んでた都市の空の記憶と

少し古くなった石造の家

埃っぽい道路の脇を歩いてる情景

温泉旅館の廊下を歩いてる気怠さ

 

それらは全て自分の中にあるはずのものなのに

なにかの五感の刺激がないともう引き出せない

悲しいほど愛おしい過去の記憶

 

マドレーヌを紅茶に浸した一瞬の香りと共に去る