昔日
昔の夢を見た。
夢の中で、かい君はまだ小学生で、私は成長していた。
「君は変わらないね」と私は夢の中の彼に話しかけると、
「君は大きくなった」とかい君は返した。
「大きくなって、つまらなくなった」とこっちを見ながら言った。
全くその通りだ。私はきっとこの先もっとつまらなく、もっと大人らしくなっていく。夢の中の君だけがひとり、取り残されて、永遠に元のままだ。
「私、この国から出ることにしたんだ」そう言うと彼は寂しそうに笑って、知ってたと言う。
鉛のように重い体が、潮のように、向こう側へ引き戻される気配がした。そう言えば、もう10年会っていない。時間の訪れだけが過去の映像を巻き戻している。