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生々流転

日々の生活

迷子-『三四郎』夏目漱石

3年ぶりくらいに『三四郎』を読み終えた。やはり高校より幾分か分かったことがあり、驚きや溜息は初回より少なくなったが新しく見つけたことは多い。

 

三四郎の恋を中心とする作品であるが彼の周りの人は皆個性があっていい、特に個人的には與次郎の廣田先生が好きである。この2人はどことなく似てる所があり、廣田先生の在学時はまさに與次郎の様な人間では無かったかと推測しています。大学と社会への風刺は夏目らしく穏やかに語られており、今の東大とはかなり状況が違っていただろうけど與次郎のような人間は減って野々宮さんばかり増えすぎたような気もする。そして美禰子は相変わらず思わせぶりな愛想を周囲に振り回しそれは過去も現在も変わらないだろう。

 

俯いて考え事をしていたらいつの間にか空は鉛色の明るみを帯びていて電車が来た時には明るみが増して灰色掛かった水色へと移った。車窓から眺める空には茜さした雲がぽつりぽつりと羊のように空に点在していて、東の空際から決まり悪そうに少し気配を感じるだけの陽から淡黄色が一帯に延びそこに黒い煙突の雲が横切っていた。更に待っていると薄い水色の空が街全体を包みようやく朝陽が輪郭も覚束無いまま街に一日の始まりを告げる。私は今までどれ程多くの日の出を見落として来ただろうと電車に揺られながら考えていた。

 

 

三四郎 (新潮文庫)

三四郎 (新潮文庫)