文鳥とピアノ

少しだけお付き合いください

階段恐怖症のはなし

私は上りの階段が恐ろしく怖い。 駅にある20段以上の階段や、神社の長い石段、ショッピングモールの長いエスカレータが恐ろしくてたまらない。 最初の一歩は踏み出せるものの、二歩、三歩と続くと、途中で力尽きてしまう。 それは脳内にある途方もない落下へ…

国語の教科書に載っていた話をひたすら思い出す〜『檸檬』〜 音楽的な文章と絵画的な文章

今回のお話は梶井基次郎の『檸檬』です。 全文はこちら www.aozora.gr.jp 紙の本は角川文庫の表紙カバーが素晴らしいのでおすすめです。 教科書で『檸檬』を読んだのがいつだったのか覚えていない。残っている教科書の中を探してみても、見つからない。中学…

国語の教科書に載っていた話をひたすら思い出す〜『失われた両腕ーミロのヴィーナス』〜

今回のお話は清岡卓行の『失われた両腕ーミロのヴィーナス』です。 随筆集『手の変幻』に収録されている随筆です。 『手の変幻』は残念ながら絶版となりましたが、有り難いことに、電子版は読めるみたいです。 一部抜粋はこちら ameblo.jp 『失われた両腕ー…

国語の教科書に載っていた話をひたすら思い出す〜『黔の驢』〜

今回の話は柳宗元『黔之驢(けんのろ)』です。 高校生の漢文の教科書に載っていたお話になります。 全文はこちら frkoten.jp 話の概要 黔州(昔の中国の地名)にはロバがいなかったが、好き者が外地からロバを輸入して、使い道がなかったので山に放った。 ロ…

夢とその続き、今年の抱負

大事な夢を見ていた気がする。 それは例えで言うならば、家の近所の川から両手一杯の砂金を見つけたような夢。 ずっと探していたものを見つけ出し、手に入れる方法を知った夢。 何もかも鮮明に分かっていた。あとはそれを実現するだけ。 絶対忘れるもんか。…

寅の見送り

2022年もいよいよ終わりが近づいてきました。 何か新しいことをしたかと聞かれたらそうでもなく、例年通りの一年でした。 でもちょっとだけ反省はあります。 ひとつ、今まで通りという現状に甘え、刺激が極端に少なく退屈だったこと。 チクセントミハイのフ…

伊勢志摩旅行記<2泊3日>--鳥羽水族館って広い!--

まえおき 1日目 10:55 品川駅発 12:25 名古屋駅着 12:50 鳥開入店 14:37 名古屋駅発 17:00 鳥羽駅発 17:30 旅館着 2日目 6:00 日の出拝観 7:10 トンビ餌付け 8:30 朝食 10:00 旅館発 10:40 鳥羽水族館着 A パフォーマンススタジアム B 海獣の王国 C 古代の海…

読書案内〜ミヒャエル・エンデ『モモ』〜 人生は無駄の連続

去年くらいにNHKの「100分de名著」で紹介された『モモ』に興味を持ち、つい最近やっと完読できた。 社会人になってから通勤がなくなり、本を手に取る時間もなくなり、なんだか人間として大事なものがどんどん欠けてく気がしていた。 テレワークして通勤時間…

国語の教科書に載っていた話をひたすら思い出す〜『温かいスープ』〜

今回紹介するお話は… 今道友信『温かいスープ』 全文はこちら。 ignis.exblog.jp 皆さんは、今まで読んだ本の中で、最も美味しそうだった料理は何ですか? 筆者は迷わず『温かいスープ』に描かれたオニオングラタンスープだと答えたい。 思い出せばそれを初…

映画案内〜ラピュタのパズーとシータから見るENFPとISFPの関係性〜

金曜ロードショー良かったですね。 特に「君をのせて」をカットしなかったのが大正解です。カットされてたら憤死する所でした。 ジブリと言えば、よく男の子と女の子の関係性を軸にして物語を進めたりしますよね。日本のボーイミーツガール作品の宝庫です。 私…

アイロンがけの話

朝、久しぶりに早起きして、歯を磨き、顔を洗い、 クローゼットの中から長く眠らせていた水色のワイシャツを引き出してアイロンがけをする。今日は日曜日だから、ゆっくり丁寧に時間が進む。 サラリーマンになってからアイロンがけが必要なシャツはあまり着…

夏の贖罪

妹が警察に捕まった話。 某年の夏、妹が警察に捕まりました。 私は家で呑気に冷やし中華を作ってて、ちょうどきゅうりを切っていましたとき、 スマホから電話がかかってきました。 着信画面を見ると、相手は大学生の妹。 「もしもし〜久しぶり〜」 「……ぐす…

映画案内〜これまずくない?『竜とそばかすの姫』の反社会的メッセージ性〜

令和4年の銃撃事件により地上波放送が延期となった、『竜とそばかすの姫』。 アマゾンプライムで視聴できたので、感想を書いていきます。 結果から言うと、筆者はこの作品をかなりまずいと思ってます。 作品の出来への評価ではなく、作品を通して監督が伝え…

教習所で特定の教官とよくあたる現象

教習所の思い出、ありますか? 都会で車なんて運転しないからとずっと免許を取っていなかったのですが、いよいよ旅先で不便になってきたので教習所に通い始めました。 社会人なので週に2日程、通いで取ってます。 毎週特定の曜日にしか行かないせいか、非常…

アニメ紹介〜『輪るピングドラム』〜京騒戯画とみる果実の持つメタファ〜

まわピン10周年おめでとうございます。 ubgoe.com 気づいたらリメイクの劇場版が始まってて、気づいたら前編がとっくに公開終了してて、気づいたら配信も終了してて、ぶっつけ後編から観るのを迷い中です。平日は映画館に脚を運ぶ暇もなし、休日は家でアマプ…

夏の匂いとは

毎年この季節になると、遥か昔のことを思い出す。 窓を開けると初夏の風が部屋に流れ込み、体がぬるい空気に包まれると同時に、どこから運ばれてきたのか分からない若葉の匂いと、微かな潮の匂いが混ざった風が鼻に届く。 そうすると私はどうしようもなく怒…

「プロフェッショナル仕事の流儀 庵野秀明SP」ークリエイターとは何かを問う

テレビは全く観ない筆者ですが、アマプラにも飽きてきた頃に 「NHKオンデマンド」に加入しました。毎月1日課金なのでタイミングとしては丁度良かったです。 元々『100分de名著』目当てで加入したのですが、港で噂の庵野秀明スペシャルが気になって観てみまし…

傘を無くした

傘をなくした。 正確に言えば、なくなっていることに気が付いた。 新入社員だった頃、ある日仕事が終わるといきなり外で大雨が降り出して、置き傘もなかったので近くの百貨店で買った折畳み傘だ。 色んな傘を物色しているうちに、一時凌ぎのビニール傘ではな…

組織で働く息苦しさ

うちの会社は割と良い。 新卒一年目から年間ボーナスが80万。 コロナ禍でも業績は右肩上がり。 月1回年休が取れて女性社員には優しい。 家賃補助が出て社員寮はたったの2万円。 上司は優しくて感情的に怒らない。 同僚はテキパキ働いて休みの日は目一杯休む…

損しない暇潰し法

仕事はあんまりできないけど、暇潰しに関してはプロの人間がこの世界に沢山いる。 筆者もその一人だと自負しています。 勿論、暇潰しで大事なのは「いかにダラダラ時間をやり過ごす」ことではなく、 「いかに退屈な時間を楽しく、有効に使うか」です。 「人…

ピアノの話

私は4歳の頃からピアノを習い、13歳でやめた。 小さい頃からピアノは全く上達せず、母は毎日私を叱った。思えば自分は何も器用にこなせる子供だったが、唯一音楽に関してだけは全くセンスがなく並の生徒より上達が遅かった。ピアノの先生は根気よく教えてく…

誰が為に働く

ショッピングモールで買い物してたら、いつの間にかサービスカウンターでポイントカードを作ることになった。 ポイントカードは概して嫌いだ。カード自体溜まりに溜まって置く場所にも困るのに、肝心のポイントは雀の涙だったりする。極力ポイントカードは作…

生き方はレールに沿ったもん勝ち?

生まれてからひたすら忙しくて自分のために生きられた気がしない。幼稚園のあとは小学校、 そのあとは中学校、高校、大学、一息ついて 就活、就職、転職、そのあとは 婚活、結婚、育児、付きまとうものは 仕事の心配、老後の心配、健康の心配、 人生の悩みっ…

倣夢十夜

夢日記というものを小さい頃は付けていたものの、日記という作業の煩わしさや毎年増えていく日記帳の管理、毎朝砂金を振るう作業のように寝ぼけながら断片的な夢を辛うじて文字に起こす苦行に耐えられなかった。 それでもやはり夢から逃れることはできない。…

現実逃避について

現実逃避があるのなら、理想からの逃避もきっとありますよね。 小さい頃の夢を諦めたり、結婚や仕事で色んな事を妥協したり、辛いことに耐えるのも現実を受け入れているように見えるけれどもそれは理想を諦めたことにもなりますよね。 現実を受け入れなけれ…

夢と現実の境目はどこか

明晰夢をよく見ていた。最近はあまりないが、そういえば学生時代に夢の中で夢だと気付くことは多かった。夢の中で飛ぶことは非常に面白かった。夢の中では、自分は何でもできるのだ。飛べると思えば飛ぶことだってできる。大事なのはイメージすること、想像…

観覧車で捕まえて

19歳、私は上京して、小さめのアパートに住むことになった。初めてその場所を訪れたとき、私は都会から少し離れた、あんまり辺鄙ではなく、かといって賑やか過ぎないその町のことが気に入った。通りかかる通行人の少し呑気な顔や、街角でうろつく大儀そうな…

迷いとか決断とか

自分は一人ベルトコンベアの上に居る。 いつからそうしているか覚えていない、誰かに言われているのかもしれないし好きで乗ったのかもしれない。とにかくベルトコンベアから下りることができない。できないと言うよりめんどくさいのだ。下りたら完全に行くべ…

変わらないものについて

中学校の同級生の話。 多くの田舎の中学校と変わらず、私が通っていた所も随分閉塞した環境であった。一学年には四つのクラスがあり、一クラス30人と言ったところだ。往々にして小学校で馴染みが出来上がってた連中ばかりで、外地から引っ越してきた子や少数…

アンビバレンス

私の中には多分、大きな背反が相克しながら住んでいる。平手友梨奈がふらふらと終わりのない小径の壁にぶつかったり倒れたりするように、今までにない大きな力が要る作業に取り掛かっている。 自分の現実と夢の背反、他人への感情の背反、外向性と内向性の背…